サンプル測定
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はじめに
加熱した金型に熱硬化性樹脂を入れると、樹脂は溶融を経て固化する。基本的な熱硬化性樹脂の反応過程である。 樹脂の溶融過程は金型内を流動し、硬化過程に移行すると流動が止まり成型物になる。 一端成型物になると再度加熱しても溶融しない耐熱性に優れた製品ができる。熱硬化性樹脂の反応過程は加熱温度により速度が変わる。 当然高温ほど速い。溶融過程において粘度が低下するほど流動性がよく特に金型内部の角や細部まで詰まった状態で硬化過程に移ると形が整った製品に仕上がる。 しかし、加熱による樹脂の溶融と硬化プロセスに共存域が存在し、反応が速すぎると金型内の充填が不十分になるケースも生じるのである。 樹脂の反応過程における温度との関係を知ることにより、樹脂の性質に対して適切な成形温度を導き、材料間の反応過程を比較することにより、 成型時における優劣の予測が成り立つのである。
 動的粘弾性測定装置Rheosol-G3000を使って、熱硬化性樹脂の反応過程を測定した。
測定条件
・前処理 樹脂0.4gfを金型内で加圧しペレット作製
・試料形状 直径φ20mm 厚み1.3mm
・温度範囲 70~140℃
・昇温速度 5℃/min
・測定間隔 2℃
・測定周波数 1Hz
・測定治具 パラレルプレート(直径φ20mm)
・角振幅 ±1deg(ひずみ0.1)
測定結果
加熱条件として図4の一定温度と等速昇温の場合がある。 金型内における樹脂の流動シミュレーションを行うには一定温度が適している。 しかし、予め硬化反応温度に設定しておいた状態で図3の恒温槽内に試料をセットする際に一端開放するために測定開始時の温度が乱れてしまう。
 樹脂の反応は測定開始直後に生じる性質のものであるためそこで温度が乱れるのは具合が悪い。その理由により未反応温度から測定を開始する等速昇温を採択した。
図5は試料2水準の硬化反応過程である。測定開始後の溶融プロセスでは粘度が連続的に低下し、硬化反応により粘度上昇に転換する。 両試料の谷底は最低溶融粘度が現れている。谷底到達手前では粘度低下の傾斜が緩やかになっており、この付近から既に反応が開始した溶融と硬化反応の共存したゾーンである。 評価の重要ポイントは最低溶融粘度値とその時の温度である。 これらの情報を元に材料の成分、主剤と助剤の配合比などを検討することによって要求を満たすために最適な成形条件に辿り着くものと考える。