サンプル測定
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はじめに
高分子融液の分子構造は、固体に較べて自由体積が広いため分子鎖間の凝集力が弱い。その物体に外力を与えてやると、生じたエネルギーは殆ど熱エネルギーとして物体の運動に消費される。それが流動という現象である。ところが、個々の分子鎖が長く、周辺の分子鎖と絡み合いの原因になり、それが僅かであるが外力に対して内部エネルギーになる要素が残る。それが融液の弾性である。高分子融液は流動により現れる粘性と絡み合いによる弾性をもつ粘弾性物質である。高分子融液の動的粘弾性測定を行い、その結果得るデータから物体の性質について考察する。
測定条件
1)機 種 Rheosol-G3000
2)測定法 動的粘弾性測定
3)モード 角速度依存性
4)角速度範囲(rad/sec) 0.06~60
5)測定温度(℃) 190℃
6)測定治具 パラレルプレート
7)試料形状(mm) 直径φ25 厚み1
8)試料 ①ポリエチレン ②ポリプロピレン
測定結果(図2 図3)

 横軸の角速度ω(rad/sec)は物体の弾性に関して緩和時間に相当し、物体の粘性に関して流動の速度に相当する。本測定結果は角速度と弾性及び粘性の関係である。貯蔵弾性率G’(Pa)は物体の弾性であり、角速度が速いほど周期(緩和時間)が短い。損失弾性率G”(Pa)は粘性と角速度の関係にあり、角速度と流動の速度が比例する。190℃における高分子の融液は、ポリエチレン、ポリプロピレンともG’G”の傾斜がωに対して依存していることを示す。しかし両物質間ではG’とG”曲線の相互関係をみると明らかな違いを示している。

1)G’とG”間の傾斜の違い。
ポリエチレンの場合その差が大きく、ポリプロピレンの場合小さい。ポリエチレンの場合、ωに対するG’(弾性)の依存がG”(粘性)に較べ大きい。すなわちポリエチレンの融液は緩和が速い物質であるであると云える。緩和の要因は分子鎖間の絡み合いが、物体のひずみにより解けるところにある。
2)G’とG”曲線の交差点
2曲線間の傾きに差があると、角速度ω上で交差するところがある。ポリプロピレンはポリエチレンよりも低い角速度ωで交差している。すなわちポリプロピレン融液の弾性G’がポリエチレンよりも低い角速度で粘性G”と並び高い角速度でそれを超えているのである。ポリプロピレンはポリエチレンよりも弾性的である。またこの交差点は分子量の違いにも関係する。

損失係数tanδは粘性G”と弾性G’の比である。従ってtanδ曲線の傾斜は、G’G”2曲線の傾きの差に依存する。 本結果から、ポリエチレンの融液はゾル本来の要素をもち、ポリプロピレンはゲルの要素をもつ融液であると考える。
[参考文献]
  1. レオロジー入門(工業調査会発行 岡小天 編著)
    第8章 固体粘弾性