![画像](image/ryudou-01.gif)
液体の粘度がせん断速度(流れの速さ)に依存しない性質を
いう。また僅かでもこの液体に応力を与えるとせん断速度
が生じ降伏値は存在しない。ニュートン流動の状態は液相
が低分子の集合体となって流れている。水やエマルジョン
(油が水に分散したようなもの)に応力を与えるとニュート
ン流動が生じる。液体高分子は、分子鎖の絡み合いが妨げ
になり、非ニュートン流動になるが、極めて流れが遅い場
合または極めて速い場合は、分子鎖の絡み合いが集合体に
なった流れや、全体の絡み合いが切れたような流れになり
ニュートン流動が生じる。
![画像](image/ryudou-02.gif)
液体の粘度がせん断速度(流れの速さ)に依存する性質をい
う。非ニュートン流動の状態は液体高分子など分子鎖の絡
み合いが妨げになって、外力と流れの速さの関係(粘度)に
影響する。外力を強くするほど分子鎖の絡み合いが切れる
頻度が高まり、外力に対する流れの速さの度合いが高くな
るのである。但し、極めて流れが遅い場合または極めて速
い場合は、分子鎖の絡み合い全体の流れや、全体の絡み合
いが切れたような流れになりニュートン流動が生じる。
![画像](image/ryudou-03.gif)
液体に与える外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断速度)
の関係を指数関数で現す流動曲線。(非ニュートン流動)
降伏値がない流動式である。
オストワルド流動式 σ=ηDn
σ(Pa):応力 η(Pa.s);粘度 D(1/sec):せん断速度
n:指数
![画像](image/ryudou-04.gif)
液体に与える外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断速度)
の関係を指数関数で現す流動曲線。(非ニュートン流動)
降伏値がある流動式である。
拡張オストワルド流動式 σ=σy+ηDn
σ(Pa):せん断応力 σy(Pa):降伏値 η(Pa.s);粘度
D(1/sec):せん断速度 n:指数
![画像](image/ryudou-05.gif)
液体に与える外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断速度)
の関係を一次関数(直線)で現す流動曲線(ニュートン流動
)。降伏値がある流動式である。
ビンガム流動式 σ=σy+ηD
σ(Pa):応力 σy(Pa):降伏値 η(Pa.s);粘度
D(1/sec):せん断速度
![画像](image/ryudou-06.gif)
液体の流動における外力(せん断応力)と流れの速さ(せん断
速度)と粘度の関係を現す式。
ニュートン流動式 σ=ηD
ビンガム流動式 σ=σy+ηD
オストワルド流動式 σ=ηDn
拡張オストワルド流動式 σ=σy+ηDn
σ(Pa):せん断応力 σy(Pa):降伏値 η(Pa.s);粘度
D(1/sec):せん断速度 n:指数
![画像](image/ryudou-07.gif)
液体に一定の応力を与えている間、流れの速さ(せん断速
度)が一定である状態の測定をいう。粘度は応力とせん断
速度の間における比例定数である。液体高分子は一定応力
に対してせん断速度が一定になるまで時間を要する。
液体高分子の状態は温度やせん断速度に依存することから、
温度一定によるせん断速度依存性、あるいはせん断速度一
定による温度依存性を測定する項目は粘度である。
![画像](image/ryudou-08.gif)
液体の水平方向に外力を与えると、流れる速さが液体の底
面からの距離に関係する比例定数をいう。
単位は1/secである。
![画像](image/ryudou-09.gif)
液体高分子の水平方向に与える外力を強めてゆくと、せん
断速度(流れの速さ)上昇に従って分子鎖の切れる割合が高
まり粘度が低下してゆく。その状態から外力を弱めてゆく
とせん断速度下降に従って切れた分子鎖の絡み合う割合が
高まり粘度が高くなってゆく。これらを粘度とせん断速度
の関係図でみると、せん断速度上において、粘度低下の曲
線と粘度上昇の曲線が重ならない場合がある。この現象を
チキソトロピーいう。この現象は切れた分子鎖が絡み合う
過程において時間的な遅れを示すものである。
![画像](image/ryudou-10.gif)
高分子液体の水平方向に与える応力を強くしてゆくと、せ
ん断速度が上昇してゆく過程において段差状に粘度が低下
する現象をいう。これは分子鎖の絡み合い全体が同時に切
れることによるものと考えられる。
チキソトロピーはせん断速度上昇に伴って、連続的に粘度
が低下してゆく過程を指し、広い意味でこれも構造粘性と
いう場合がある。
![画像](image/ryudou-11.gif)
液体高分子の水平方向に応力を与えている間、絡み合った
分子鎖群が連続的に離れてゆき、応力を止めると連続的に
に分子鎖群の絡み合いが再生する現象をチキソトロピーと
言い、再生過程で弱い動的ひずみ(振動)を与えると再生速
度が速くなる現象が生じた場合、これをレオペキシーとい
う。
![画像](image/ryudou-12.gif)
粉粒体の上面まで液体に浸かった状態の物体に対して、外
力を与えると、液体が粉粒体の粒子間に浸透し、粉粒体表
面が乾燥したようにみえる状態の変化をいう。ダイラタン
トは膨らみと言う意味である。高分子溶液はせん断速度上
昇に伴い粘度が低下する。これは絡み合っている分子鎖の
解れる度合いが増す傾向にあるためである。ダイラタント
はせん断速度上昇に伴い粘度が増加する。これは分離して
いる液体と粉粒体が絡み合う傾向にあるためである。
一例を挙げると、クッキングパウダーに少量の水を加えて
かき混ぜるとパウダーに粘りが増す状態がダイラタンシー
に該当する。
![画像](image/ryudou-13.gif)
インキ、塗料など高分子分散系の溶液を対象に加える静的
応力を段差状に増してゆくと粘度がせん断速度に依存する。
また動的応力を段差状に増してゆくと同様に粘度が角速度
に依存する。前者の粘度を静的粘度、後者を動的粘度とい
う。せん断速度と角速度の数値が溶液の流れにおいて等価
であると考え同一の速度範囲上で両者の粘度曲線が重なる
経験則をコックスメルツ則という。
![画像](image/ryudou-14.gif)
高分子分散系の溶液を対象に加える静的応力を段差状に増
してゆくと、液体の流れの速さに相当するせん断速度との
間に二次関数で現すことのできる関係がある。応力とせん
断速度をそれぞれ平方根でとり、一次関数で現したかたち
の関係をキャッソンプロットという。この関係図は降伏値
が存在するビンガム流動方程式で現すことのできる関係図
と同じかたちである。
![画像](image/ryudou-15.gif)
液体に応力を与え細管を通すことにより、せん断速度(流
れの速さ)が回転式のせん断速度に較べ、高い状態における
粘度測定をいう。キャピラリーは細管(または細孔)と言う
意味である。応力を段差状に増してゆくと、外力とせん断
速度との関係から、回転式に較べ高いせん断速度範囲にお
ける粘度曲線を描くことができる。
![画像](image/ryudou-16.gif)
キャピラリー粘度測定に使用する細管ノズルの長さが短い
ため、液体に圧力を与えるとその両端(液体の入り口と出口
)における圧力差が原因となってせん断応力に誤差が生じる。
これを見かけのせん断応力という。
細管ノズルの長さ(管長)を補正する方法をバグレイプロット
という。補正後を真のせん断応力という。
![画像](image/ryudou-17.gif)
物体に応力を与えると、その物体は変形または流動する。
物体が外力に応答する変形や流動を考える学問をいう。
固体が小さな外力による変形を弾性変形、大きな外力によ
る変形を塑性変形、それらの境界を弾性限界という。
弾性変形は外力を受ける瞬間に生じ、塑性変形は変形終了
までに時間が生じるこの現象が流動である。
高分子液体にも固体同様に弾性限界がある。但しその範囲
が固体に較べ非常に狭い。
![画像](image/ryudou-18.gif)
物体に静的応力または動的応力を与えると変形(流動)ひず
みが生じる。応力とひずみを測定する器械をレオメータい
う。レオは流動という意味である。静的応力を与えて高分
子物体に生じる変形の履歴(変形ひずみと時間の関係)をク
リープ測定という。動的応力と動的ひずみの大きさとひず
みの遅れ(位相差)との関係を動的粘弾性測定という。